日時:2022年10月12日(水)
・橋本道範「地域環境史の具体化を目指して-湖辺論-」
概要
琵琶湖地域は固有の生態系を持ち,アジア・モンスーン地域の東端に位置している.また,洪水もかつてより頻発している地域であり,有名な洪水の記録としては明治29年の洪水がある.その洪水時には3.76m水位が上昇したと記されている.国土交通省は,琵琶湖の湖辺の定義を「水深7mプラスこの洪水発生時の3.76m」を足したものと定めた.そして,この湖辺地域は「エコトーン」と呼ばれている。
一般的に洪水時には低地が浸水し,高地では災害を受けないと思われる一方で,低地では浸水後に豊かな土壌をもたらす「利」があり,高地では地滑りなどの災害を引き起こす可能性がある.また,南アジアのモンスーンエリアでは季節に雨期,乾期がありそれに応じて災害が発生しているが,琵琶湖エリアでも季節に応じた特徴的な洪水の発生が見られる.これらのことから「琵琶湖地方」は当科研の海外フィールドのアジア・モンスーン地域と対比しやすいエリアではないかと考えられる.











